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IT実務がまだ薄いなら基本情報が先。クラウドを業務で触っている、または触ることが決まっているならAWS SAAが先。理由は難易度じゃなくて「有効期限」だ。基本情報の合格は切れないが、AWS認定は3年で切れる。使う予定がない時期に取ると、実務で必要になる頃には失効している。
どうも、金融IT企業でエンジニアをやってるサル、さるちゃんです。「AWS SAA 基本情報 どっち」で検索する人が本当に多い。どっちも人気資格で、どっちも「取っておいて損はない」と言われる。でもね、両方同時には受けられないし、財布も時間も有限だ。遠回しはナシだ。ズバッといくよ。
この記事では、印象論じゃなくIPAとAWSの公式データ(受験料・試験時間・有効期限・合格率)を並べたうえで、キャリア別に「どっちが先か」を決める。ついでに、意外と語られない有効期限という落とし穴についても書いておく。
結論:順番を決めるのは難易度ではなく「使う時期」
先に結論を置く。この2つは比べる土俵が違うから、「どっちが難しいか」で順番を決めると失敗する。判断軸はこれだけでいい。
- IT未経験・転職活動中・非IT職からの異動組 → 基本情報が先
- すでにインフラ/クラウドを業務で触っている → AWS SAAが先
- 基本情報をすでに持っている → AWS SAAへ進んでいい(応用情報という選択肢もある)
理由は後で数字とセットで説明するけど、コアはひとつ。AWS認定は3年で有効期限が切れる。基本情報は切れない。だから「今すぐ使わない資格を、期限付きで先に取る」のは順番として損なんだよね。
そもそも別ジャンル:国家試験とベンダー試験
基本情報技術者試験(FE)は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験だ。出題範囲はアルゴリズム、ネットワーク、データベース、セキュリティ、マネジメント、経営戦略まで含む「IT全体の共通言語」。特定の製品には寄らない。
一方のAWS Certified Solutions Architect – Associate(SAA)は、Amazon Web Servicesが実施するベンダー試験。AWSというひとつのクラウド基盤のサービス群を、設計目線でどう組み合わせるかを問う。範囲は狭いが深い。そして製品の進化に合わせて中身が変わる。
この性質の違いを図にするとこうなる。
ここを踏まえると、「どっちが上か」という問いが成立しないのが分かると思う。長く効く土台か、今すぐ効く即戦力か、という選択なんだ。IT資格全体の並び順はITエンジニア未経験からIT資格を取る順番に整理してあるので、ロードマップ全体を知りたい人はそっちを先に見てほしい。
公式データで比較:受験料・試験時間・有効期限
ここからは数字だ。ボクの感想じゃなく、IPAとAWSの公式ページに書いてある内容だけを並べる。
| 項目 | 基本情報技術者試験(FE) | AWS SAA(SAA-C03) |
|---|---|---|
| 実施団体 | IPA(情報処理推進機構)/国家試験 | Amazon Web Services/ベンダー試験 |
| 受験料 | 7,500円(消費税込) | 150 USD(公式料金表の日本円表示は20,000円。別途税がかかる場合あり) |
| 試験時間 | 科目A 90分+科目B 100分(計190分) | 130分 |
| 出題数 | 科目A 60問+科目B 20問(計80問) | 65問(択一選択・複数選択) |
| 実施方式 | CBT方式により随時実施 | テストセンターまたはオンライン監督付き試験 |
| 有効期限 | 更新手続き・期限の制度なし | 3年間有効 |
| 合格率の公表 | IPAが年度・月別に公表 | 公式サイトに記載なし |
受験料の差はおよそ2.7倍。しかもAWSは3年ごとに再認定が必要になるので、10年スパンで見ると差はもっと開く。ざっくり計算すると、基本情報は1回7,500円で終わり。AWS SAAを3年おきに受け直すと10年で3〜4回、6万〜8万円クラスになる。
ベンダー資格の「3年で失効」って、受験前にちゃんと意識されてない気がするんだよね。取得コストだけ見て安く感じても、維持コストまで含めたら別モノだ。ボクは「今後3年以内に業務で使うか」で判断していいと思っている。使わないなら、期限のない国家試験を先に押さえるほうが素直に得。
合格率は?——そもそも比べられないという事実
「合格率が低いほうが偉い」みたいな話をよく見るけど、この2資格では比較が成立しない。IPAは統計を公開しているが、AWSは公式サイトに合格率を掲載していないからだ。ネット上にある「AWS SAAの合格率は◯%」という数字は、公式発表ではなく個人やスクールの推計値であることが多い。ここは正直に書いておく。
公表されている側、基本情報の実データはこうだ。IPAの統計(推移表)から年度単位で拾った。
令和6年度(2024年4月〜2025年3月)は受験者147,186人・合格者56,370人・合格率38.3%。令和5年度が40.8%、令和4年度が47.1%だから、3年で約9ポイント下がっているのが事実だ。CBTで随時受験できるようになって受験者層が広がった影響もあるだろうから、「試験が難化した」と断定はしない。ただ、「基本情報は簡単だからサクッと取れる」という前提で計画を立てると、けっこう痛い目を見る水準ではある。
学習時間の見積もりや科目Bの位置づけは基本情報技術者試験は独学で受かる?勉強法と学ぶ内容にまとめてある。独学か講座かで迷っているなら基本情報技術者、通信講座と独学どっちが受かりやすい?も参考にどうぞ。
キャリア別:あなたはどっちが先か
ここが本題。4パターンに整理した。まずは分岐図から。
1. IT未経験・転職活動中 → 基本情報が先
理由は3つある。(1)応募書類で名前が通じる、(2)期限がないので取得タイミングを気にしなくていい、(3)AWSの用語(VPC、サブネット、IAM、可用性)を理解するのに、結局ネットワークとセキュリティの基礎知識がいる。基礎がないままSAAの学習に入ると、丸暗記する量が跳ね上がって効率が悪い。
正直に言うと、SAAを暗記中心で通すこと自体は不可能ではない。ただ、その状態で面接に行くと深掘り質問で止まる。「資格は持っているけど中身を説明できない」という印象は、資格なしより厳しく見られることがある。
2. すでにインフラ・クラウド業務に触れている → AWS SAAが先
もう現場でEC2やS3を触っているなら、順番を逆にしていい。理由は明確で、使っている技術の資格は失効前に元が取れるから。3年の有効期限が「デメリット」ではなく、単に更新すればいい話になる。実務で触っている人は学習コストも低く、SAAの設計問題が「あるある」に見えてくる。
この場合、基本情報は後回しでいい。とはいえ捨てる必要はない。会社によっては資格手当や昇格要件に情報処理技術者試験が入っていることがあるので、社内制度は一度確認しておくといい。資格とお金の関係は資格で年収は本当に上がるのか?日本と世界のデータで徹底検証で数字を出している。
3. 基本情報をすでに持っている → SAAか応用情報かは「目的」で決める
この層がいちばん迷う。ざっくり言えば、クラウド案件に近づきたいならSAA、社内評価や上流工程を狙うなら応用情報だ。応用情報との比較は基本情報と応用情報どっちを受ける?違いと選び方に詳しく書いた。
4. 非IT職(営業・事務)でIT知識が必要 → ITパスポートから
この場合、SAAは完全にオーバースペックだ。設計者向けの試験なので、AWSを構築しない人が取っても使いどころが薄い。まずはITパスポートで共通言語を押さえるほうが費用対効果が高い。
なお、どの資格から始めるにせよ「勉強を続ける仕組み」がないと詰む。ボクが実際に使ってみて、まず広く浅く試すのに向いていたのは月額制で複数講座が受け放題になるオンスク.JP
のウケホーダイだった。合わなければ月単位でやめられるので、方向性が固まっていない段階のリスクが小さい。ただし取り扱い講座は入れ替わるので、狙っている資格の講座があるかは公式で必ず確認してほしい。使ってみた感想はオンスク.JPは本当に使える?にまとめてある。
両方取るなら:基本情報→SAAが素直
「結局どっちも取る」という人も多いと思う。その場合の順序は基本情報→SAAを推す。SAAで問われるのは、可用性・耐障害性・コスト最適化といった設計判断だ。その判断の前提になるのが、ネットワーク(サブネット、ルーティング)、データベース(RDBとNoSQLの違い)、セキュリティ(認証と認可)の基礎知識で、これは基本情報の出題範囲とかなり重なる。
逆順(SAA→基本情報)がダメというわけではない。ただ、SAAの学習中に「そもそもこれ何?」を都度調べる時間が発生するので、トータルの学習時間は伸びやすい。
それと、これは実体験として言っておきたい。2つを同時並行で走らせるのはおすすめしない。ボクは働きながら性質の違う資格を並行してやったことがあるけど、頭の切り替えコストが想像以上に重くて、どっちも中途半端になりかけた。詳しくは資格2つを同時進行で勉強してわかったことに書いた。
費用面を先に把握しておきたい人は資格取得の費用はどれくらいかかる?独学と通信講座の総額比較もどうぞ。
よくある質問
AWS SAAは3年で失効すると聞きましたが本当ですか?
本当。AWS公式のSAA試験ページに「この認定資格は3年間有効です」と明記されている。期限を過ぎると有効な認定保持者ではなくなるため、名乗り続けたい場合は再認定が必要になる。一方、基本情報技術者試験は国家試験で、合格後の更新手続きや有効期限の制度は設けられていない。この違いは取得タイミングを決めるうえでかなり大きい。
未経験でもAWS SAAから始められますか?
始めること自体は可能で、受験資格の制限もない。ただしSAAはソリューションアーキテクト(設計者)向けの試験なので、ネットワークやデータベースの前提知識がないと、用語の理解だけで学習時間が膨らみやすい。IT基礎が薄い自覚があるなら、基本情報を先に通すほうが結果的に近道になりやすい。
受験料はそれぞれいくらですか?
基本情報技術者試験は7,500円(消費税込)。AWS SAAは150 USDで、AWS公式の料金表では日本円20,000円と表示されている(別途税がかかる場合あり)。AWS側の価格は改定されることがあるため、申し込み前に公式ページで最新の金額を確認してほしい。
合格率で難易度を比べられますか?
比べられない。IPAは基本情報の合格率を年度・月別に公表しており、令和6年度は38.3%だった。一方AWSは公式サイトで合格率を公表していない。ネット上の「SAAの合格率は◯%」という数字は非公式の推計なので、公式データ同士の比較として扱うのは無理がある。
まとめ
もう一度ズバッと。3年以内にクラウドを業務で使う予定があるならAWS SAAが先、そうでないなら基本情報が先。難易度でも人気でもなく、有効期限と使う時期で決めるのがいちばん損をしない。
数字で言えば、受験料は7,500円と20,000円で約2.7倍差。基本情報は合格が失効しないので「早く取っても腐らない」。AWS SAAは3年で切れるので「使う直前に取ると強い」。この非対称性さえ理解していれば、順番の答えは自然に出るはずだ。悩んでる時間がいちばんもったいない。
出典・参考データ
- IPA「基本情報技術者試験」(試験時間・出題数・CBT方式)
- IPA「試験のスケジュール」(受験手数料7,500円・消費税込)
- IPA「統計情報(基本情報技術者試験)」(年度別の応募者・受験者・合格者数)
- AWS「AWS Certified Solutions Architect – Associate」(130分・65問・150 USD・3年間有効)
- AWS「試験を受ける前に」(試験の料金表・日本円表示)
金融ITの現場で働くエンジニア。基本情報技術者・簿記2級・証券外務員一種ほか、働きながら資格を取ってきた実体験と、世界のデータをもとに「ズバッと分かる」解説をお届け。→ さるちゃんって何者?(プロフィール)
